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zoom RSS ラヴェル『水の戯れ』の演奏比較

<<   作成日時 : 2008/07/05 10:27   >>

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39.『水の戯れ』
 ラヴェルの作品の中でめずらしく、いかにも印象派的な音楽。リストの“エステ荘の噴水”とドビュッシーの“水の反映”との間に位置すると言えそうな音楽。描写的にも、ピアノテクニックの切れを聴かせることも、茫洋とした印象の中に沈めることもてきる。さて。

モイセイヴィッチ(ピアノロール) カサドジュ フランソワ リンパニー アルゲリッチ ロジェ 青柳いづみ子

●モイセイヴッィッチ。高音のキラキラ感を重視した録音になっている。キレイなトイピアノという印象。描写派に分類してもおかしくないだろう。
●カサドジュ。この人が作曲したものを聴くとカサドジュというピアニストの本質が分かるような気がする。カラリと乾いた機知のある音楽。ここでの演奏もインテンポで即物的。新古典派のザッハリッヒの精神が息づいている。ただ、音に丸みがあって、音楽をトゲトゲしたものにしないのが、この人の最大の長所。
●フランソワ。この人の音楽は太陽の光よりも夜の闇と親しい。闇のなかで感覚はやや膨張気味。月光に照らされた水の動きは情緒纏綿。少しベタつく重さも感じられる。
●リンパニー。速く硬い演奏。水音重視のようにみえて、ガッシリとした構成感に留意している。力強くあろうとして、少しわずらわしくも感じられる。
●アルゲリッチ。激しく奔放な演奏。水が弾け跳ぶような凄まじい爆発力と集中力がある。若いときは良かったという代表的な演奏。激しくても美しさがある(最近は音色が痩せて音楽が汚くなっている)。
●ロジェ。音に膨らみがあり、ビロードの音色と言えるだろう。水はゆるやかに流れ、その温度もやや高く温んでいる。水のきらめく反射よりも、水そのもののしなやかさを音にしているような感じ。
●青柳。ドビュッシーの専門家が、水をテーマに録音した際の1曲。ドヒュッシーでは曖昧模糊とした音色を作り出していた彼女が、一音一音キリッと際立たせ、スッキリした立ち姿を音に与えている。どこにももたれない音楽はありそうで、意外とない。貴重な演奏の一つ。

 誰もが軽い小品を弾いたとはとられたくないと意を決したかのような、力を込めた演奏になっている。誰もがドビュッシーとの違いと、テクニックの切れを見せたくなっていることが共通して見られる。
 ピアニストという種族はどんな形にせよ、腕を見せたくてしょうがない性質を本来的に持っているということのようだ。

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