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zoom RSS くれなずむ音楽第9回 「グリーグ/ノルウェー舞曲」

<<   作成日時 : 2012/06/23 15:38   >>

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第9回『グリーグ/ノルウェー舞曲』

 グリーグは今でこそ北欧のマイナーポエットの扱いになっているけれど、生前はヨーロッパ中にブームを起こしたことのある大物だ。ドビュッシーなどもそブームを仰ぎ見ていた一人だ。ロシア楽派は印象派が掘り起こす必要があったが、グリーグはよりドイツロマン派に近く、軽やかなエキゾチシズムと繊細な抒情性が受け入れられたようだ。たしかに今聴いてもマイナーに位置付けるのはもったいない。
 『ペール・ギュント』『ピアノ協奏曲』という押しも押されもしない名作、代表曲があるけれど、あまりに人口に膾炙しているので、冥土の土産にふさわしくない。そこで一歩退いて眺めてみると、『ノルウェー舞曲』にスイトナー/ドレスデンskの名演があることが分かる。これを選ぶに如くはない。
 スイトナーは時折、爆発的な熱演を聴かせることがある。世間では、この手の名演を“爆演”と呼んでいるようだ。だけど、与したくない下品なネーミング。演奏の中味まで下品に感じてしまう。とくにこの指揮者はどれだけ熱がこもってもどこかにエレガンスを蓄えて放さないところがある。皇帝のご落胤と噂されたクメンス・クラウス直伝の音楽観のなせる業と言えるのかもしれない。
 ベートーヴェンやシューマンの交響曲全集で、管楽器、とくに木管を強調するバランスの取り直しをするとで、音楽に新生面を切り開いてみせたような知的な部分と、ブルックナーや“未完成”を筆頭とするシューベルトで見せる激発する狂乱の精神。この二つが共存しているのがスイトナー。かつてN響アワーの常連でお茶の間の顔になってしまったことがマイナスに働いて、真価が正しく評価されていないようだ。
 その音楽性の豊かさはここに取り上げた曲やスッペの序曲集など小品を見違えるほど鮮やかに聴かせている。たとえば、スッペの『美しきガラテア』など、隅々までキラキラと輝き、圧倒的な興奮に導かれる。そしてこの『ノルウェー舞曲』では低弦の豊かな響きと、底から揺り動かすようなリズム感で4曲ともが個性溌溂と躍動している。
 4曲合わせてわずか12分の小品だけど、どっしりとした充足感が味わえる。グリーグはひ弱な繊細さに魅力があるけれど、この曲では“山の魔王の宮殿にて”の宥められた野生のようなものがうまく出ていて、心を安全圏に置いたまま、存分に野性を楽しめる。エンタテイメントとしての生命力、野蛮性としての一級品に仕立て上げられている。スイトナーの手腕によって、この“くれなずむ音楽”100選に滑り込んだというところだ。




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