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zoom RSS くれなずむ音楽 第8回 「ビゼー/交響曲ハ長調」

<<   作成日時 : 2012/06/16 13:59   >>

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第8回ビゼー『交響曲ハ長調』

 ビゼーといえば『カルメン』『アルルの女』をあげるのが筋なのだろう。だけど、筆者は音楽にストーリーが付くのが好きではない。劇附随音楽の組曲まではストーリーを無視して聴けるけれど、オペラとなるとよろしくない。たとえば、メンデルスゾーンの『真夏の夜の夢』のような劇附随音楽でも、抜粋版までは愛聴してるが、全曲番ではたちまち退屈してしまう。せっかく音楽に凝縮された詩情がストーリーの散文性によって霧消してまうように感じる。オペラはさらに。
 それで、先にあげた2曲の組曲は好きには違いない(アルルのアダージョなど胸に迫る時もある)。ただ、それ以上に交響曲を玩弄する気持ちか強い、ということだ。
 この曲はビゼーが学生時代に書いて、パリ音学院のどこかの棚だか抽き出しだかに蔵われていて、発見されたのは20世紀に入ってからだったのではかったかな。
 若書きに特有の溢れ出て来るような音楽の奔流が耳に心地いい。そればかりか、自分ではついに経験することのなかった煌めくような青春の美しい想い出を追体験するような喜びがある。まさに天才の証がふんだんに詰め込まれ、音楽自体が喜びに打ち震えている、と大げさに誉めたくなる。
 こうした才能は10代から活躍するごく希な天才にだけ与えられたもの。モーツァルト、ロッシーニ、メンデルスゾーンに顕著に見られる。しいて付け加えるなら夭折したアリアーガとリリー・ブーランジェくらいのものか。ショスタコヴィチが『交響曲第1番』以前の作品で早熟の才能をいかんなく発揮しているが、残念なことに彼の能力は権力によって曲げられてしまった。
 話をビゼーの曲に戻そう。第1楽章の駆け出すような爽快さ、第2楽章の胸が疼くような切なさを持った歌の美しさ、第3楽章スケルッツォの品位を保ったにこやかなお戯け、第4楽章のあっけらかんとした軽快さ。楽章ごとに明快な個性を描き出して、しかもまとまりがよく間然するところがない。
 老成したところはなく若やいだ音楽だけど、人生の甘さも辛さも知り尽しているかのように、陰影に富んで深い思いも味わうことができ、最後にはスッキリと爽やかな気分で聴きおえることができる。
 技術的な難易度が低いのか、若い演奏家によって演奏されることが多いように思うが、こういう易しく含蓄のある音楽ほど大家の練達の技が求められる。その点、ミュンシュがフランス国立放送soを振った盤が格好の演奏だと思う。いつもながらキリッと引き締まった響き、キビキビとした前進力が若さいっぱいの曲にふさわしい。第3楽章、木管の響きを強調して鄙びた雰囲気を出す所など、ほかの指揮者にない魅力が横溢している。




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