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zoom RSS くれなずむ音楽 第7回 「ブルックナー/交響曲第7番」

<<   作成日時 : 2012/06/09 14:20   >>

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第7回「ブルックナー/交響曲第7番」

 ブルックナーの代表作は第8番と目されている。ベ−ト−ヴェン的な主題労作を極めた巨人的作品。主題は2つから3つに拡大され、終楽章ではすべての楽章の主題がすべて回帰する。交響曲の歴史中での最大の果実なのかもしれない。
 人によっては最後の第9番を挙げる人もいる。終楽章が未完に終ったが、それでも精神生が高いという。
 最初に知った曲でもあるし、小生もその意見に与してもいいくらいに思っている。しかし、第7番の魅力に屈することが多い。まあ、クズがなく出番が少ないのは第6番くらい。すべてが名曲と言うべきなのかもしれない。0、00は数に入れてないけれど。
 第7番のいいところは生意気小僧と呼ばれる第1番の溌剌とした生気と第4番のロマンティックな香気を併せ持ち、晩年の重厚な構成力によって隙なく作られていること。この年になると、大人ぶって渋さや高さを求める必要もなくなってくる。いや、むしろ渋いもの、高いものの中に俗な名誉心や創作的な野心が透いて見えてくるようにる、というべきだろう。
 70歳になっても少女を追い掛けていた田夫野人のアントン。その彼がいったんオルガンの前に座り、作曲のペンを取ると、高潔な世界に身を置いたかのようになる。田舎もの丸出しで、洗練されたマナーや社交の世界にいなかったことが、音楽の純粋さ、高貴さにつながっている。飾りを排した武骨なまでの音楽が、積み重ねられるほどにじわじわと説得力を持つ。人も音楽も史上稀に見る特異な存在だ。権力者に出会うと卑屈なまでにへりくだり、あわよくば気に入られようとの魂胆をはずかしげもなく晒してしまう野卑な男でもあった。
 ウィーンの洗練された人士たちからは愚鈍な田舎ものと見下されていたアントンだが、音楽形式に関しては膨大な知識を身に付けていたし、交響曲においてベートーヴェンに勝る巨大な形式を築くことに並々ならぬ野心を抱いていた。それはワーグナーがなしえず、楽劇の世界に展開したものだった。ブルックナーは巨大さの見本をもらって、ベートーヴェンの正当な子孫であるべき交響曲という形式の中に巨大さの思想を畳み込もうと考えたのだ。それが第8番をして天空に聳える巨大な山塊のイメージをもたらしているだろう。
 その点第7番はボンベを背負わなくても登れる、もう少し身近な人間界の山だ。美しさも神々しいものではなく、四季折々の空気が爽やかに吹き抜ける感がある。
 さて、この魅惑的な曲のイメージを見事に探り当てているのは、フィリップ・ヘレヴェッヘ。第4番が先に出て、冒頭のヴァルトホルンを模した響きでいっぺんに魅了されたのだったけれど、その魅力はこの第7番にも注ぎ込まれていて、巨大さにたいする固定観念をぬぐい去った、瑞々しい音楽を奏でている。一つひとつのフレーズが等身大の縮尺に戻され、身近な自然の美しさに満たされたようで、人生の幸福を満喫できるだろう。
 あえていうなら、シューリヒトの演奏はモーツァルトを振る時と同様、予断を排した自然に立ち上がってくる音に任せたようなスタイル。ヘレヴェッヘとは対照的にキリリと引き締まった即物的な音楽だが、巨大指向から脱していることと、サラリとした抒情が爽やかに感じられるところに惹かれる。





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