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zoom RSS 40年代ピアニスト/第9回「バレンボイム&ウゴルスキ」

<<   作成日時 : 2011/12/03 12:46   >>

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●『ダニエル・バレンボイム』1942〜
※参考盤:「モーツァルト/ピアノ協奏曲第5番・9番」

 神童時代からつねに楽壇の中心に居つづけている希有な成功者のようだ。ようだ、というのは一度も演奏を気に入ったことがなく、まともに経歴を追う気にもならないからだ。
 持っているのは上記の1枚だけ。指揮ではモーツァルト協奏曲だとか、デュプレの伴奏のチェロ協奏曲だとか、あとは珍しいレパートリーのヴォルフの管弦楽といったところ。どの演奏も部分的にイキイキとしたリズムで生彩を放つ部分はある。
 だけど全体で見ると、そのいい部分も気紛れで、流れのなかでの必然性がまったくない。それといい部分も下品に傾きがちだし、以外の部分はまったくもって鈍重というしかない。彼にどれだけ音楽性が伴わないかの証明は、アルゼンチンタンゴを演奏したものを聴けばいやでも分かるだろう。音楽はすべて間延びし、熱は感じられず、下町の粋がった部分の欠片も感じられない。
最良の演奏は、初期のモーツァルトのピアノ協奏曲の全集。イギリスcoを弾き振りしたもの。幸い下品さがあまりなく、一貫性は乏しくても、イキイキした部分を楽しめる。



●『アナトール・ウゴルスキ』1942〜
※参考盤・演奏:「ベートーヴェン/ディアベリ変奏曲」「スクリャービン/ピアノソナタ全集」「ブラームス/ピアノソナタ全集」「ブラームス/ピアノ協奏曲第1番」

 40歳を過ぎてようやくソビエトを脱出し西欧に活躍の場を得て日の目を見たピアニスト。大型のヴィルトゥオーゾと喧伝されていたように思うけれど、ロシアンピアニズムの反対の極の一人ではないかと感じられる。豪放磊落と繊細柔和が圧倒的な技術と体力によって織り交ぜられるのがロシア流であって、個人個人どちらかの極に片寄っている。ホロヴィッツがすべてを備えていたイメージがあるが、彼はほんの一瞬豪放に見せることで、全体を力強く装う“芸”を持っていたにすぎない。リヒテルとギレリスは若いときには圧倒的な力技に頼っていたけれど、中年以降は沈思黙考するスタイルだった。
 ウゴルスキーは非常に明快なタッチ、キレのいいリズム感を武器にダイナミックな造形を手に入れている。その点で雄大さ、スケールの大きなといった形容詞が冠せられやすい。しかし、「ディアベリ」を聴いても、「スクリャービン」を聴いても、「ブラームス」のソナタ、実演に接した協奏曲にしても、一番の魅力は小さなフレーズ、和音の微妙な変化に打ち震え、わなないている音楽だ。デビューの「ディアベリ」では巨大な音楽に負けまいとして、力感たっぷりに演奏しているが、最近のスクリャービンでは繊細に小さく小さくまとまろうとしているように感じる。小さいからこそ濃密でいられる世界を目指してるように思う。それが選曲のせいなのか、自分の指向に合わせた演奏なのかいま一つ分からないが、実演でもその傾向が強かったように思うので、小さく繊細にというのが本人の指向なのだろう。トロップ、メジューエワ師弟に精神的に近いのではないかと考えられる。

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