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zoom RSS 40年代ピアニスト/第5回「ブルーノ・レオナルド・ゲルバー」

<<   作成日時 : 2011/10/29 10:12   >>

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メ怐wレオナルド・ブルーノ・ゲルバー』1941〜
※参考盤:ベートーヴェン「ピアノソナタ悲愴・月光・第18番」/シューマン「交響的練習曲・謝肉祭」/シューベルト「さすらい人幻想曲etc.」/ブラームス「ピアノ協奏曲第1番」

 化粧をして舞台に上がるということからして前世紀、いや前々世紀を思わせるところがある。けして恣意的なデフォルメをするタイプではないけれど、音楽のロマンに浸りきったような演奏はやはり19世紀的。20世紀以降の緊張、強ばった思考優先の音楽とは無縁の人だ。
 なんとも豊満な音色、恰幅のいい音楽の姿。技術的にも精神や感情の面でもすべてにゆとりを感じさせる。ベートーヴェンを演奏しても、難しさを感じさせることがなく肉感的ですらある。ブラームスのピアノ協奏曲第1番のような若書きの訴えようという意欲が空回りする音楽に立ち向かったときもエレガンスすら匂わせる。シューマンのグランドソナタや交響的練習曲では作曲家の意図する熱狂や狂躁、深い沈潜を豊かな響きのゴージャスな奔流に置き換えてしまう。シューベルトのさすらい人幻想曲では、歌謡性よりもここでも響き、低音から突き上げてくるようなエネルギーとして表現している。
 彼が19世紀の遺物ではないのは、客観的な構成力に裏打ちされていることと、自分は音楽をいかに表現するかという一貫したコンセプトの下に演奏を繰り広げているという、いかにも今日的な芸術のあり方を踏まえているからだ。
 それにしても、上で取り上げた演奏がほとんど20代で完成していたというのは驚くべきことだ。最近の若手でも注目すべき人はたくさんいるが、これほどの完成度はお目にかかれない。
 ゲルバーは最近になってもほとんど同じアプローチで演奏している。枯れることなく、倦むことなく、若くして到達した円熟の境地をひたすらなぞりつづけている。一つ間違うと芸人的暮らしなのだが、到達している境地があまりに幸せな芸術の庭なので、彼は稀有の芸術家でいつづけられるのだ。

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