B面クラシック くれなずむ音楽

アクセスカウンタ

zoom RSS コヴァセヴィッチ楽派宣言50 ベートーヴェン/ピアノソナタ作品10他

<<   作成日時 : 2010/10/02 11:00   >>

トラックバック 0 / コメント 0

画像
No.47『ベートーヴェン/ピアノソナタOp.10』
    ピアノソナタ第5番ハ短調Op.10-1
    ピアノソナタ第6番ホ長調Op.10-2
    ピアノソナタ第7番ニ長調Op.10-3
    ピアノソナタ第15番ニ長調Op.28“田園”
    EMI 5567612 98年6月録音

【ピアノソナタ第5番】
 第1楽章、速い。考えるいとまを与えない隙のなさ。キリッと引き締まった音楽で、鋭く激しい表現のなかにチラチラと愛らしく甘い魅力の音をちりばめている。Op.1-3のピアノ三重奏曲といい、初期のハ短調の曲は生意気小僧と呼ぶのがふさわしい早熟さを示している。
 第2楽章、重く暗い音の後につづく澄んだ青空のような音楽が胸に沁みる。
 終楽章、切迫した音楽のどこかにユーモアを漂わせている。コヴァセヴィッチのピアノはどちらかに片寄るということもないし、物足りないということもない。力一杯でありながら、スッとかわすようなゆとりがある。

【ピアノソナタ第6番】
 第1楽章、可憐で元気なハツラツとした美しさ。この曲はOp.10という成熟以前の若々しさがそのままに出た曲。コヴァセヴィッチも清々しいアプローチ。
 第2楽章、スカルラッティやソレールを思わせるような優しい憂いに満ちた音楽。コヴァセヴィッチのスカルラッティを聴きたくなる。
 終楽章、運動性が表に出た曲で、ハイドンを聴くように、どこかユーモラス。運動の楽しさを満喫しているピアノのハツラツとした雰囲気がいい。

【ピアノソナタ第7番】
 第1楽章、重く踏み締める足取りと軽快な足取りが交替する。対比の面白さというより、単に交代の面白さ。運動の明暗がゆるやかに明滅する感じ。
 第2楽章、哀しい美しさ。中間部では鬱積した憤りのような、抑制しているけれど高いエネルギーに打ち震えているような危うさがひしひしと伝わってくる。
 第3楽章、サラサラと流れる音の美しさ。まさに春の小川。伸び伸びとして晴れやか。コヴァセヴィッチの音の温かさと円やかさが寛いだ感触を作り出している。
 終楽章、いきなり立ち止まってしまうテーマ。そこから動き始める楽しさ。即興の楽しさとユーモアが渾然一体となっている。こういう抽象的な音の遊びに生命力を吹き込むのはコヴァセヴィッチのもっとも得意とするところ。

【ピアノソナタ第15番“田園”】
 第1楽章、“田園”と呼ばれることもあるように、田舎くさく、長閑で静かな落着きをたたえている。華やかさに見向きもしない芯の強さを秘めた音楽だ。
 第2楽章、ゆったりとした行進。ズシリとした低音の魅力。延音はどこまでも延びて夢の国に届きそうな印象を与える。
 第3楽章、不器用なスケルッツォ。不器用さがユーモアに通じている。
 終楽章、長閑なイメージのテーマはすぐに立ち止まってしまう。そこから走り出す深い音。古典的な造形感覚にとどまっていながら、激しさを秘めているし、ユーモアも濃密。ベートーヴェンを楽しく聴かせることにかけては、コヴァセヴィッチの右に出るものはいないだろう。イキイキとしたリズムとゆとりがユーモアにつながっているのだろう。

テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

コヴァセヴィッチ楽派宣言50 ベートーヴェン/ピアノソナタ作品10他 B面クラシック くれなずむ音楽/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる