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zoom RSS コヴァセヴィッチ楽派宣言49 ベートーヴェン/ピアノ

<<   作成日時 : 2010/09/25 14:07   >>

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No.46『ベートーヴェン/ピアノソナタ“悲愴”』
    ピアノソナタ第8番ハ短調Op.13“悲愴”
    ピアノソナタ第9番ホ長調Op.14-1
    ピアノソナタ第10番ト長調Op.14-2
    ピアノソナタ第11番変ロ長調Op.22
    EMI 5565862 97年5月録音

 “悲愴”は3度目の録音。コヴァセヴィッチにとってのベートーヴェンのもっともベーシックな世界に位置していると考えていいだろう。

【ピアノソナタ第8番“悲愴”】 
 第1楽章、序奏部分が少し軽くなっている。逆に主題は遅く激しい。その微妙な出し入れに音楽観の変化が見て取れる。以前は序奏の段階から一気に聴衆を惹き付けようとして、微妙な音色の美しさ、深い没入を目指していたけれど、今回はあくまで主要部分は主題と割り切って、肩の力を抜いて音楽に取り組んでいる姿が見える。その結果、音に聴き入る深さも増しているのだけど、感受性を研ぎ澄ますことが病的な精神とは結びつかず、健全性すら感じられるポジティブな音楽になっている。
 第2楽章、ゆとりをもってたっぷり歌っている。中間部の転調がハッとするほど暗く感じられる。しかし、ここでも主題の回帰がより暖かく感じられるのだ。
 終楽章、速いテンポのなかで、少しゆとりをもって一音一音明確に深くタッチしている。鮮やかさと大らかさが同時に得られているのが面白い。

【ピアノソナタ第9番】
 第1楽章、慈しむような優しいタッチと律動性が同居している。EMIに復帰してからのコヴァセヴィッチはいつも、一つの音にいくつもの意味、性格が感じられような懐の深い音作りをしているように感じられる。
 半音階の不安定な行き惑いは、そのまま迷わせている。ベートーヴェンの音楽の魅力は、この不安定部分を大幅に導入したこと。それが解消する時の喜びが音楽のドラマの最たるもの。コヴァセヴィッチもよく理解していて、途中で安直な解決を持ち込むようなことをしない。
 第2楽章、アレグレット。緩徐楽章にしては速い。短調で表出力の強い性格の音楽。古典的な部分を強調した端正さと、可愛らしさと、不穏な雰囲気が同居している。
 終楽章、急迫する強い音楽。低音の強いタッチが圧倒的で、グイグイとまくしたてる力となっている。

【ピアノソナタ第10番】
 第1楽章、淡い柔らかな音。下降スケールのこぼれ落ちるような美しさ。装飾性が高く、ベートーヴェンとは思えない小市民的なものが横溢している。
 第2楽章、馬がダンスの練習をしているような不可思議な動き。きれいなスタッカートが魅力。
 終楽章、楽しい行進。サーカスか村芝居か、触れ回る楽しい楽隊の行進を思い浮かべる。

【ピアノソナタ第11番】
 第1楽章、指の運動のような機械的な音楽から迸り出てくるテーマの軽妙さ。その影で低音部でpで押し通している音型の不穏な空気が凄い。タッチ、音色の巧みさに尽きる。
 第2楽章、静かな緩徐楽章。のどかな美しさを繰り広げるけど、低音の無気味さは相変わらず。
 第3楽章、古典的なメヌエット。エレガンスを漂わせた後に、それに歯を剥くようにギサギサの強い音形。
 終楽章、流れるような音楽。そこにあえてテヌートをかけて、無意味に流れさってしまうことを避けている。ここでも中間部に激しく不穏さをぶちまけている

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