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zoom RSS コヴァセヴィッチ楽派宣言48 ブラームス/チェロソナタ他

<<   作成日時 : 2010/09/18 15:27   >>

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No.45『ブラームス/チェロソナタ』
    チェロソナタ第1番ホ短調Op.38
    チェロソナタ第2番ヘ長調Op.99
    ヘンデルの主題による変奏曲とフーガOp.24
    L.ハレル(Vc)
    EMI TOCE9655 96年5月16〜18日 12月6〜7日

 ピアノ協奏曲の第2番の第3楽章にチェロの独奏がある。その演奏が良かったので、このソナタがやりたくなったのではないだろうか。一時期、ベートーヴェンのヴァイオリンソナタをチョン・キョンファと共演するという情報が流れたことがあったけれど、それが実現していれば、ブラームスのヴァイオリン・ソナタも彼女と、と云うことになっただろう。ところが、彼女はフランクールと組んでその曲を先に入れてしまった。それでチェロ・ソナタに振り替えたと、うがった見方もできなくはない。
 選んだ相手はリン・ハーレル。アシュケナージやパールマンとよく組んでいたチェリスト。たっぷりした音を出すことに長けているけれど、あまり技巧面では褒められない。結果はいい面と悪い面と両方現れているようだ。

【チェロソナタ第1番】
 出だし、チェロの渋い音色に一気に期待が高まる。ところが、ハーレルは素早く強いボウイングが苦手なのか、急速に激する場面で十分に音が出なくなる。その結果ピアノに着いて行けないという印象を抱いてしまう。コヴァセヴィッチの音楽を一生懸命なぞっているのだけど、p、ppでは上手く行くけれど、音楽が盛り上がるところで盛り下げてしまう。おかげでピアノの雄弁さはよく分かるのだけど。
 第2楽章以降はピアノが表に出てしまい、コヴァセヴィッチ一人で音楽をもり立てる結果となっている。

【チェロソナタ第2番】
 熱気溢れるピアノがチェロをつねに追い立て、煽っている。チェロはなんとか期待に応えようと、頑張ってはいる。第2楽章の低音のピツィカートがきれいに響くなど、ピアノが少し控えめになることで息を吹き返したようだ。しかし、第3、第4楽章ではやはりピアノが上回ってしまう。アンサンブルとしては破綻した演奏と言わなければならないだろう。このアルバムはこの後に独奏曲もあり、あくまでコヴァセヴィッチがメインの扱い。ハーレルはあくまでゲスト。ハーレルを主役にはしてやれなかったのだろう。そのような控えめな伴奏が不可能ではないにしても、それではコヴァセヴィッチの求めるブラームス像でなくなってしまう、ということなのだろう。
 チョン・キョンファとの共演が実現しなかったのもどちらがメインなのかの折り合いが付かなかったのが原因かもしれないと想像する。

【ヘンデルの主題による変奏曲】
 2度目の録音。ソナタの鬱憤を晴らすように、思いの丈をすべてぶちまけたような快演。変奏曲の多彩さ、変幻自在の音色、鮮やかなリズム。つねに前へ前へと力強く前進する力強さ。その源となっている低音の弾むような独得の感触。ブラームスらしい微妙な心のうつろいを描いても見事。
 さらに最後のフーガの壮大さは協奏曲の世界にも匹敵するような構築性と、ボリューム感に満ちている。聴き終ると、知的な満足以上に、肉体的にずしりと重い迫力を受け止めた充足感と心地よい疲れを感じるだろう。

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